結婚式10日前に激痛で救急搬送…初めての大腸カメラで告げられた言葉

午前9時。一般診察を受けた瞬間、医師の表情が少し険しくなりました。

「まだ断定はできませんが、気になる点があります。大腸カメラをやりましょう。検査は明日になるので、入院になりますが大丈夫ですか?」

――まさか入院!?
一瞬ためらったものの、不安を抱えたまま帰るわけにはいきません。

「お願いします。仕事はフリーランスなので融通は利きます」

そう伝えたものの、胸の奥はざわざわしていました。

夫に荷物をお願いしました。

この人は普段はマイペースでスケジュール管理が苦手なのに、緊急時になると驚くほど頼もしい。医師や看護師とコミュニケーションと先を見た的確な質問を投げかけ、必要な段取りを次々と整えていく。

「大丈夫だよ、任せて」

そう笑ってくれた夫の言葉に、不思議と力が抜けました。私は点滴のせいで眠気と痛みに襲われ、ベッドでうなされていましたが、夫が裏で動いてくれていることを感じるだけで安心できました。

彼は両親への連絡、自宅への往復、荷物の準備…すべてをこなして電動自転車で病院に戻ってきてくれました。不安を感じるよりも「大丈夫だ」と心から思えたのは、彼がそばにいてくれたからだったと今振り返ると思います。

「結婚式前にこんな事態になるなんて…」

本来は翌日の予定だった大腸カメラ。しかし、外来スケジュールの空きが出たとのことで、急きょ当日午後に検査を行うことになりました。

鎮静をかけるかどうかは患者の判断。鎮静をかけるかどうかは患者の判断。体調が最悪の私は迷わず「鎮静あり」を選びました。

大腸カメラ前には腸内をきれいにするため、浣腸が必要です。

「5〜10分で便意が来ますが、なるべく30分は我慢してくださいね」と看護師さん。

――初の浣腸剤。入れたら我慢するのね…

すぐにトイレに駆け込みましたが、激痛と気持ち悪さに加えて「我慢」という試練が重なり、体調はますます悪化。あの数分間は本当に壮絶でした。結局、10分も我慢できず排泄してしまいましたが、看護師さんは「大丈夫ですよ」と優しく声をかけてくれました。

検査は鎮静のおかげでスムーズに終了。気づけば気持ちよく眠っていて、痛みも苦しさも感じませんでした。

しかし、目覚めた瞬間に突きつけられたのは予想外の言葉でした。

「ここに影が見えます。病状はまだ断定できませんが、この病院ではこれ以上の処置はできません。大学病院へ救急搬送となります」

「まじか…大学病院…!?」

気づけば口から出ていたのは、
「10日後に結婚式なんですよ。何とかなりますかね?」という言葉でした。

その時の医師の顔は今でも忘れられません。
眉間にしわを寄せ、難しい表情をこらえながらも、どこか悲しみを帯びた瞳でじっとモニタを見つめていました。

不安と恐怖というよりも、状況が飲み込めず「ただ委ねるしかない」という気持ち。そんな中でも夫は、不安を見せずに、そっと私の手を握りしめてくれました。

「大丈夫。俺がいるから」

その一言で、胸の奥がふっと軽くなりました。
このタイミングでこんな出来事が起きたのも、神様の憐れみかもしれない。目の前に与えられた夫と一緒なら、たとえ何があっても乗り越えていける――そう思えた瞬間でした。

つづく。

投稿者プロフィール

Risa
Risa
37歳で婚約し、38歳で迎えた初めての結婚式の準備真っただ中に、大腸がんが見つかり大学病院へ緊急搬送されました。
ステージ3Bと診断され、手術・40日間の絶食、3カ月間の抗がん剤点滴治療を経験。

がんを抱えたまま挙式のために3日間の一時退院したことなど、闘病記を綴っています。

アラフォーに近づき、結婚に至るまでの恋愛で悩み、挫折した経験。
そして突然のがん闘病生活から始まった新婚生活。

私の経験が、同じように悩む読者の励みになれば幸いです。